店員を増やすことについて、あらためて具体的な検討を始めました

一人で運営している体制に行き詰まりを感じていたことは、数年前からこのブログなどに書いてきた通りで、「お手伝いします!」というありがたいお申し出がこれまでになかったわけでもないのですが、諸条件が折り合わなかったり、新しいことを始める余裕がこちらになかったり、あまり手を広げるべきではないのでは?という迷いがあったりで、特に進展のないまま今日に至っています。

このまま現状維持で今年7月の開店10周年を迎えそうな気配だったのですが、昨年あたりから急に作家さんが増えてきて日常業務の量や内容に変化が出てきたことや、せっかく良い作家さん・作品が集まってきているのに満足な対応のできていないことへの(僕の)ストレスが募ってきたことなどから、人手を増やして「より良い店」を目指すのか、逆に規模を縮小して一人でできる範囲の店にするのか、そろそろ方針をはっきりさせるべきだろうと考えるようになりました。

正直なところ、長い間一人でやってきたので、そこに誰かに加わってもらうというのは、期待と同じくらいに不安が大きいです。僕が人と一緒に仕事をするのがうまい大人ではないということが不安に拍車をかけて、一人でできる範囲でいいじゃないかという方へ気持ちが傾きがちだったりします。実際面倒だしね。

そうしていろいろと悪い想像をしつつ悶々としていたのですが、年相応に保守的になってる自分が何となく嫌になってきたのと、とにかくやってみないと分からないでしょうという友人からの(無責任でかっこいい)アドバイスとがあって、店員を増やした場合に必要となる準備や作業を、先日から具体的に検討し始めました。

どういう検討かと言えば、どのような役割分担が考えられるかとか、最初は何をしてもらうべきかとか、商品の管理方法はこのままで良いか?とか、受注管理システムを自分以外でも簡単に使えるように改良しなくちゃとか、どこに座って仕事してもらうかとか、パソコンを増やす必要はあるかとか、鍵の管理はどうしようかとか、考えればいくらでも出てくるようなそういう内容です。

いずれにしても、世間一般的な「アルバイト募集」のような形で募集するわけではなく、興味をもってくれた方と具体的に条件をすり合わせながら実現の可能性を高めていくことになります。アルバイト募集の時は声をかけて下さい!と過去に言ってくれた方が数人いらっしゃるのですが、すいません、今回はそういう形にはなりませんでした。

また、そんな検討を始めたところに、某作家さんから架空ストアの業務を手伝えるかも…という提案をいただきました。とりあえずお話をうかがって、詳しくはこれから検討していくところですが、ひょっとしたらひょっとするかもしれません。

 

長々と内輪の事情を書きましたが、店員が増えて協力して運営するようになったとしたら、おそらくお客さんや作家さんにも、いろいろと影響が出てくると思います。

例えば、作品の審査基準を店員の間でしっかりと共有できるように今よりも明確にすることになるでしょうし、曖昧さを無くすために委託販売の細かなルールが変更されたり、厳格になったりすることもありそうです。商品発送時の梱包のやり方も変わるかも知れません。古くからのお客さんにとっては、実店舗に僕以外の店員がいる!というのが何よりも新鮮な驚きかも知れません。

まだ何かが決定したわけではないですし、結局今回も何も変わらず現状維持でしたという結末が待っている可能性も無きにしもあらずですが、とにかくこのような取り組みを始めましたということだけ、お断りしておきたいと思いまして、この記事を書きました。

どのように転んだとしても、今まで通りに楽しんでいただける場を、長く続けられるような選択をできればと思っています。
ご心配をおかけするようで恐縮ですが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

フリーペーパー架空非行第8号「売名行為」をリリース

フリーペーパー架空非行第8号をリリースしました。

第8号のテーマは「売名行為」です。ずいぶん昔の話になりますが、そういう名前の大阪の劇団がありました。見た時は、「これが大阪か!」という衝撃でした。関東の中でも特に情報の少ない田舎出身だったせいですが、その頃は大学に進学して北海道にいまして、大阪出身の先輩が持っていたVHSビデオで見たのでした。いまだ見ぬ本当の大阪は海の向こう山の向こう川の向こうです。

それで素直に「これが大阪か!」と思い込んでしまったけれど、実際のところあれが大阪ならではの芝居だったのかどうだったのかはよく分かりません。「これが大阪か!」と僕が叫び、「そうだ、これが大阪だ!」と先輩が豪語したというだけの話です。いや、先輩はそんなこと言わなかったかも知れません。もはや追憶の彼方です。

そんな古い劇団の思い出とは全く何の関係もないのですが、「売名行為」のリードライターはあひるなんちゃら関村俊介さんにお願いしました。あひるなんちゃらと言うのは東京の劇団です。ニヤニヤしてしまう幸せな時間が延々と(実際には70分)続いていくような芝居をやっています。芝居の面白さもさることながら、ブログや公演チラシの裏に大量に書かれる関村さんの文章のユルユルツルツルとした感触が僕はとても好きで、それが架空非行の一面に!というのは本当に感無量であります。嬉しい。今までで一番、肩肘張らずにすんなりと入りやすい架空非行になったんじゃないでしょうか。

なお、あひるなんちゃらの次回公演も今月です。まるで番宣のための登場のようですね。偶然だなあ。

「走るおじさん」 2015.3.5~3.9 下北沢駅前劇場
http://www.ahirunanchara.com/next.html

 

ゲストはたなかなつみさん五十嵐彪太さん葉原あきよさん松岡永子さんの4人。やや常連の顔ぶれになった感はあります。本来の意味の「売名行為」とは違う角度の作品がそろっています。それぞれの思惑はともかくとして、売名行為を巧みに避けていく筆っぷりをご堪能ください。

試し読みは3本です。今回は全体を4ページに収めたかったので少なめです。新しめの作品を選んでみましたので、気になっていた作品もあるんじゃないでしょうか。さわりだけでもぜひ読んでみて下さい。

架空ストア実店舗店頭での配布および、通販時の同封で入手できます。3月末まで。ダウンロードでの提供もありますよ。

続きまして4月1日発行予定の第9号のテーマは「桜の森の満開の下」です。
坂口安吾の作品のタイトルをそのまんま借りてみました。リードライターはわたりさえこさんです。それぞれの桜の森を心に秘めて、来たるべきその日をお待ち下さいませ。

原稿募集の詳細等はこちらをどうぞ。
http://store.retro-biz.com/fn_press.html

楽市楽座の舞台をあと何回も体験したい

2年くらい前でしょうか、井之頭公園のはらっぱの真ん中で楽市楽座さんの野外劇を見ました。
日が暮れてから、水に浮かぶ丸い舞台で、親子三人が演じる奇妙な世界。
壁も柵もないのだから入場料なんて無くて、投げ銭です。芝居の途中で舞台に向かってお金を投げます。
日常と非日常の境も曖昧で、ノスタルジックでいて、新鮮な体験でした。
芝居って、本来はこういうものなんだろうなとも思います。

現在も全国を回っている途中の楽市楽座さんですが、
その活動を支援する「楽市友の会」を作ることになったそうです。

投げ銭の収入だけで旅公演を続けるのは、
こちらで想像する以上に困難が多いのではないかと思いますが、
あの空間をもう一度、あと何回でも体験したいというきわめて個人的な動機から、
ちょいと紹介させていただきます。

野外劇団 楽市楽座
http://yagai-rakuichi.main.jp

意外と身近なところまで来ているかも知れませんので、
彼らの旅の動向をうかがってみて下さいませ。

オライリーがえらいという話

オライリー(O’Reilly)の電子書籍ストアがDRMフリー。つまりコピー可。
O’Reilly Japan Ebook Store

一度買ったデータが将来的に読めなくなる危険性がかなり軽減するので、
高価な技術書を買うユーザー側としては、本当にありがたい。
そもそも、あの分厚い本たちは、読むのも持ち歩くのも保管するのも大変だったので、
電子書籍にするメリットも大。これは良い店です。

DRMフリーにすることによる実害ももちろんいろいろ考えられるわけで、
オライリーの内部では激論が交わされたんじゃないかと思います。
その一部始終を聞いてみたい。ものすごく。
架空ストアのような小さな店がDRMフリーにするのとは、世間に対する影響力が全く違いますからね。

熱意あるユーザーに支えられた専門書の出版社だからこそ可能だったことなのかも知れませんが、
ほかの業界に目をやれば、彼らと同じようなチャレンジのできる出版社がまだあるでしょうし、
オライリー単独の試みで終わるのではなく、大きな動きにつながっていくと良いなあ。
架空ストアの電子書籍の次の展開についても、もう少し本腰を入れて考えてみようという気になりました。

追伸
人間の視覚って、視界の中心部分と、その周辺部分とでは、処理の仕方が違うのだそうですが、
オライリーの電子書籍ストアのトップページを見つめていると、それがすごく実感できますね。