後輩書記とセンパイ会計のエンドレスリピート

後輩書記とセンパイ会計、不浄の美脚に挑む

後輩書記とセンパイ会計、不浄の美脚に挑む

表題作を含むシリーズ6本は、
後輩書記とセンパイ会計の関係が「別に進展はない」まま続く。
だけど、常に2人はちょっと良い感じなのだ。うらやましい。

相手がこっちのことを思ってくれているかも…というくらいの関係って、
当事者にとってはほとんど問答無用に楽しいんじゃないかと思う。
いや、このへんは恋愛観に個人差もあるだろうし、
あくまで自分の経験に照らし合わせてみると単なる勘違いで終わったことも多いから、
胸が痛いところもあるし、何だか気持ちが嘘のように重くなってきたのだけど、
まあ、そんな話はおいておいて、
この物語を読み進める読者の多くは、
後輩書記とセンパイ会計の延々と続く幸せに頬を緩めてしまうはずだ。

そんな「変化しない」2人の物語の舞台が、
進級や卒業のある中学校生活であることは、
お約束事でもあり、何とも強力な魔法でもあるなあと思う。

「変化しない」ということは、永遠の必要条件みたいなところがあって、
例えば2人が出会って付き合って結婚して子供を作って…などと展開してしまうと、
どこかに確実に「終わり」があることを、予感せざるをえなくなってくる。
それは、作者が「終わり」を書かなければ大丈夫というものでもなくて、
それまでの物語の展開が、ある種のベクトルとなってしまうから、
「終わり」の位置がある程度は確定されてしまう。
そうでなくとも、2人はいずれ死ぬ。それがハッピーエンドかどうかはともかくとしてね。

そういう宿命から逃れるようにして「変化しない」を選んだ物語は、
楽しい時間がいつまでも続く理想郷でもあり、
同じことが際限なく繰り返される悪夢のようでもあり、
美形で異形だ。
それゆえにポップだと思う。
ディズニーランドのようだと言ってもいいんじゃないかなあ。
作者本人は喜ばないかもしれないけれど。

お客様を楽しませるためなら一切の努力を厭わないのがポップの真骨頂。
作者はこの物語に数々の創意工夫を組み込んでいて、
お約束に終始したものから感心させられるものまで、なかなか興味深い。
読者と一緒に、さらに進化する(だけど変化しない)可能性を秘めた楽しみなシリーズだ。

 

なお、シリーズ以外の作品も3本収録されているのだけど、
ここで同じ文脈で語ってしまうのは、あまりに強引すぎる気がしたので、
またいずれ別の機会に書ければと思うよ。あしからず。

 

後輩書記とセンパイ会計、不浄の美脚に挑む
http://store.retro-biz.com/page_detail_1155.html

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