フリーペーパー架空非行第11号「デイジー・チェインソー」をリリースしました

フリーペーパー架空非行第11号をリリースしました。

第11号のテーマは「デイジー・チェインソー」です。検索すると90年代の初頭のイギリスのロックバンドが出てくるので、ああ、これがテーマかと思われた方が多そうですが、そうではありません。

いや、そうではないと言ったら言い過ぎで、実際のところ無関係ではありません。でも、無関係ではないと言っても言い過ぎな気もしてきます。どっちかな。どっちだろう。右か左か天秤ばかりが揺れたまんまでいつになっても静止しません。大音量のBGMにウーハーが利きすぎているからでしょうか。それともテーブルに置いた僕の手が震えているのでしょうか。

(ここまで書いて、筆が止まり、しばらく先が書けないまま数時間が経過して、キーッとなってきました。)

震えてないで、BGMも止めて、落ち着いて経緯を説明しましょう。

僕も最初は検索しました。

ただし検索ワードは「デイジー・チェインソー」ではなく「キリンジ」です。リードライターの木村ことりさんが、キリンジのことをやたらとツイートしていたので、ちょっと気になったんだったと思います。その時点ではデイジー・チェインソーのことは全く頭にありませんでした。そこそこ好きなバンドだったとは言え、20年以上前の話ですからね。

キリンジの曲名や詞をつらつらと眺めていく中で、「さよならデイジーチェーン」という曲があるのを知りました。とても良い曲です。すごく心惹かれるのを感じました。と同時に、その引力に不審なものも感じました。何だか強すぎるのです。細腕の少女がタグボート並みの力でグイグイ引っ張ってくるような、見た目の印象と物理が釣り合わない不自然な感じです。

これは何かあるぞ…と曲名をひたすら睨み付け、やがて僕は「デイジー・チェインソー」のことを思い出しました。

そういえば、あの生きづらそうだった女の子は、今どうしてるんだろう?

そこでまた検索に次ぐ検索です。インターネットが普及してなかった90年代初頭では知りようもなかったことが、いろいろ分かりました。予想通りのことと予想外のことが半々くらい。架空非行のことを忘れて、気が済むまで調べまくりました。

それからようやく架空非行の方に意識が戻ってきて、うんうん、この曲名はいいんじゃないか、「さよならデイジーチェーン」…と思って、愛用のペンでノートにメモをして、いろいろと事務手続きを済ませてから、さあ、木村ことりさんにテーマを知らせようと思って、再びノートを開いたところ、そこには「デイジー・チェインソー」と書かれていたのです。

これが経緯です。

ああ、これだとただの書き間違えのようですね。そうじゃないんですが、なかなかうまく説明できません。メモをした時点では、「さよならデイジーチェーン」と「デイジー・チェインソー」の区別なんて無くなっていて、前者の思いを込めて後者の文字を書いたんだ…と思ってもらえると、誤解はいくらかでも軽減できるでしょうか。

ともかく僕は、ノートに書かれた文字の、可愛らしさと凶暴さの共存するたたずまいにあらためて納得し、このテーマを木村ことりさんに伝えたのでした。

 

前置きがとても長くなりました。このテーマに快く応えてくれた木村ことりさんの作品は、「デイジーチェーン(数珠つなぎ)」を意識したループする物語です。後半の加速する感覚がまるでポップソングのサビのようで、原稿を受け取ってすぐに今号の成功を確信しました。果たしてこの円環を断ち切るノコギリを、手にする日は来るのか来ないのか。

ゲストは五十嵐彪太さんわたりさえこさん秋山真琴さん(雲上回廊)葉原あきよさんの4人+αです。愛嬌と異形が共存する「ポップ」が垣間見える作品がそろったように思います。テーマをうまくくみ取ってもらえて感無量です。

主に行数とレイアウトの都合で、掲載の順番はほぼ選択の余地がなかったのですが、何だか最初からそこに収まっていたかのようにピタッと並んでくれました。テーマの持つ謎の粘着力のせいかも知れません。

試し読みは5本です。新しめの作品が中心で、今回はマンガ作品のレイアウトを少し変えてあります。この方が魅力が伝わるんじゃないかと思うのですがいかがでしょうか。

 

架空ストア実店舗店頭での配布および、通販時の同封で入手できます。6月末まで。ダウンロードでの提供もありますよ。

続きまして7月1日発行予定の第12号のテーマは「パレードの落し物」です。

うっかり間違えて「パレードの忘れ物」って書きそうになります。どちらにしようか結構悩んだためですが、これもまた、「デイジー・チェインソー」と「さよならデイジーチェーン」のような関係じゃないかと思われます。

リードライターはMOCAさんです。くすっとBOOKのMOCAさんですよ。

 

原稿募集の詳細等はこちらをどうぞ。
http://store.retro-biz.com/fn_press.html