架空非行第13号は総集編です

フリーペーパー架空非行第13号をリリースしました。昨年8月の第1号から今年1月の第6号までを振り返って、「今あらためて読んだらなんだか気になった作品」を5本選んで掲載しています。

葉原あきよさんの「うさぎ」は、第3号「日常にとけこむもの」に掲載。あきよさんが架空非行に寄せてくれる作品は、その号のテーマを知らずに読むと表情がガラリと変わる「二面性」のあるものが多いような気がします。この作品もそうなのですが、テーマを知った上であっても、なんだかわかるようなわからないような、「語られない余韻」の衰えない感じが、とても好きです。

松岡永子さんの「我が家の朝食」は、日常の家事の最後にキュッと蛇口を締めるような、丁寧な語り口が印象的な作品です。その最後の手つきがとても好きです。あ…と思った後で、思わずもう一度最初から読み返してしまった人が多いんじゃないかと思います。こちらも第3号の掲載作品でした。

たなかなつみさんの「外の世界へ通じる扉」は、第5号「楽園に行こう」の掲載作品です。この作品が気になった理由については、ちょっと説明が難しいです。久しぶりに読んでみて、「あ、架空非行だったのか」と驚いたのですが、なんだか僕の頭の中では、ハヤカワのSFアンソロジーか何かで読んだ他の作品と一緒に分類されていた感じなのです。イントロのような内容なので、さりげなく他の物語とくっついてしまったのかも知れません。

月読さんの「永遠ハレルヤ」は、第6号「人工衛星の街角」のリード作品でした。カラフルでサイケな浮遊感が印象的です。幼い頃に人工衛星に感じたトキメキが良い感じにくすんで、街角に落ちてきています。今あらためて読んでみても、最初に読んだ時に感じたみずみずしさは失われていませんでした。

五十嵐彪太さんの「観察する少女」は、第4号「これはペンですか?」に掲載。とても美しい作品です。でもギュッと抱きしめたら醜いものが零れ落ちそうな危うさもあります。それはつまり「儚さ」かとも思いましたが、一言で言い表そうとすると陳腐になりますね。一言では言えないからこそ物語になるんだということを、今回あらためて認識させられました。

 

以上の5作品の他の、試し読みが4本で、全体としては4ページのコンパクト構成。創刊当初の基本方針に立ち返ってみた感じです。

架空ストア実店舗店頭での配布および、通販時の同封で入手できます。8月末まで。ダウンロードでの提供もありますのでぜひどうぞ。

 

第14号も総集編で、第7号から第12号までを振り返ります。
その後どうするかはまだまだ考え中です。いろいろと野望はありますが、無理せず続けられるような落としどころを探らなければと思ってます。